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関節再生医療の新たな可能性を拓く—整形外科医・紫藤奈緒が目指すワンストップ医療

年齢を重ねても、自分の足で歩き、好きな場所へ出かけ、旅を楽しみ、アクティブな日常を送り続ける。そのために欠かせない身体機能のひとつが、膝関節の健康です。

膝は、立つ、歩く、階段を上り下りする、座るといった日常の動作を支える重要な関節です。身体を移動させるための基本的な機能を担う一方、歩行や運動のたびに体重や衝撃を受け止めるため、長年の負荷や加齢、外傷などによる変化が生じやすい部位でもあります。

膝の痛みは、単に身体の一部に生じる不快な症状ではありません。外出の機会が減り、旅行やスポーツを控えるようになり、活動範囲そのものが狭まってしまうこともあります。人生をより長く、より豊かに楽しむというロンジェビティの観点からも、関節の健康を維持することは重要なテーマといえるでしょう。

近年、こうした関節疾患に対する新たな選択肢として注目されているのが、自己脂肪由来培養幹細胞を用いた再生医療です。従来の保存療法や手術療法とは異なるアプローチとして研究や臨床応用が進められていますが、治療を検討する際には、細胞の働きだけでなく、患者さん自身の関節の状態を正確に把握することが欠かせません。

今回お話を伺ったのは、整形外科医として臨床経験を重ね、現在はBiOSTYLE CLINIC院長を務める紫藤奈緒先生です。

膝関節の診療において大切にしていること、MRIによる画像評価の意義、自己脂肪由来培養幹細胞治療の可能性、そして診断から治療後のフォローまでを見据えた医療連携について、整形外科医の視点からお話を伺いました。

DOCTOR PROFILE

紫藤 奈緒(Nao Shito)

BiOSTYLE CLINIC 院長

群馬大学医学部卒業。日本医科大学附属病院にて初期臨床研修を修了後、横浜市立大学整形外科に入局し、整形外科医として臨床経験を重ねる。

現在はBiOSTYLE CLINIC院長として、再生医療、整形外科、関節・運動器疾患、幹細胞治療などに携わる。一人ひとりの身体の状態や希望に向き合い、生活の質(QOL)を大切にした個別化医療を目指している。

膝の痛みを、単なる加齢現象として片付けないために

——膝の痛みを訴える方は多くいらっしゃいますが、先生は診療において、まず何を大切にされていますか?

私が最初に大切にしているのは、患者さんが感じている症状を丁寧に把握することです。

同じように「膝が痛い」とおっしゃる方でも、痛みが出る場面や程度、経過は一人ひとり異なります。歩き始めに痛む方もいれば、階段を下りるときに強く痛む方、長時間歩いた後に症状が出る方もいらっしゃいます。

また、膝の痛みの背景には、関節軟骨の変化だけでなく、半月板や靱帯、骨、周囲の筋肉など、さまざまな組織が関係している可能性があります。

そのため、年齢だけを理由に「加齢によるものだから仕方がない」と判断するのではなく、どのような原因が考えられるのか、現在どの程度の機能障害があるのかを確認することが重要です。

——変形性膝関節症について、どのように理解すればよいでしょうか?

変形性膝関節症は、膝関節を構成する軟骨や骨、周囲の組織に変化が生じ、痛みや動かしにくさなどにつながる疾患です。

関節軟骨は、骨同士が直接ぶつからないようにする役割を担っていますが、加齢や長年の負荷、体重、過去の外傷、関節の使い方など、さまざまな要因が重なって変化していきます。

ただし、画像上の変化が大きいからといって、必ずしも痛みが強いとは限りません。反対に、画像だけでは十分に説明できない症状がある場合もあります。

大切なのは、画像所見だけで判断するのではなく、患者さんの訴えや身体所見、日常生活での困りごとなどを総合的に捉えることだと考えています。

膝関節の健康は、活動的な人生を支える基盤

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることだけで説明できる疾患ではありません。関節軟骨、半月板、軟骨下骨、滑膜、靱帯、関節周囲の筋肉など、複数の組織が関係する複合的な疾患として理解されています。

関節軟骨は、関節面を覆うことで摩擦を抑え、荷重を分散させる役割を担っています。しかし、軟骨には血管がほとんど存在せず、損傷した場合に自然な修復が難しいという特徴があります。

また、関節の変化は必ずしも一方向に進むわけではありません。体重や筋力、歩行習慣、過去のけが、関節の形状など、さまざまな要因が関係します。

そのため、膝の痛みを考える際には、単に軟骨の状態だけを確認するのではなく、関節全体を評価する視点が必要です。

ロンジェビティの考え方においても、健康寿命を延ばすことは単に長く生きることを意味しません。自分の足で移動し、身体を動かし、社会や趣味との関わりを維持できることが、人生の質を大きく左右します。膝関節の健康を守ることは、その基盤を整える取り組みのひとつです。

整形外科医が再生医療に向き合う意味

——近年、膝関節に対する再生医療への関心が高まっています。先生がこの分野に取り組む理由を教えてください。

再生医療は、これまでの治療とは異なるアプローチとして研究や臨床応用が進められている分野です。特に、自己脂肪由来の培養幹細胞を用いた治療は、患者さん自身の細胞を採取し、培養したうえで投与する方法として注目されています。

一方で、再生医療という言葉だけが先行し、どのような方に適しているのか、何を期待できるのかが十分に理解されないまま、治療を検討されるケースもあるのではないかと感じています。

私は整形外科医として、まず関節の状態を正確に把握し、現在の症状に対してどのような治療が考えられるのかを整理することが大切だと考えています。

再生医療は、すべての患者さんに適した治療ではありません。保存療法やリハビリテーション、薬物療法、その他の治療選択肢も含めて検討し、その方にとって何が適切なのかを考える必要があります。

——再生医療を検討する際、治療を提供すること以上に重要なことは何でしょうか?

治療を始める前の評価と、治療後の経過をきちんと見ていくことだと思います。

患者さんは、それぞれ異なる身体の状態や生活環境をお持ちです。仕事や趣味、運動習慣、旅行の頻度などによっても、膝に求める機能は変わってきます。

例えば、日常生活での歩行を楽にしたい方と、スポーツを続けたい方では、治療を検討する際の目標も異なります。

そのため、単に治療メニューをご案内するのではなく、現在の関節の状態と患者さんの希望を照らし合わせ、治療の目的や期待できること、限界やリスクについても理解していただくことが重要です。

治療を受けるかどうかを含めて、患者さんが納得して判断できる環境を整えたいと考えています。

治療ありきではなく、患者の状態から考える再生医療

再生医療への関心が高まるなか、治療方法そのものに注目が集まりがちですが、本来重要なのは、その治療が患者さんの状態に適しているかどうかを見極めることです。

膝関節の治療には、運動療法やリハビリテーション、体重管理、薬物療法、装具療法、注射による治療、手術療法など、さまざまな選択肢があります。それぞれに目的や適応があり、症状の程度や関節の状態、患者さんの年齢、活動性、生活上の希望などを踏まえて検討されます。

再生医療も、こうした治療選択肢のひとつとして位置付けて考える必要があります。

特に重要なのは、治療を提供する施設が、治療の適応をどのような基準で判断しているかという点です。治療を希望する方に対して、必ずしも治療を勧めるのではなく、現在の状態を評価したうえで、別の治療方法が適している可能性も含めて説明できることが望まれます。

治療を受けること自体を目的とせず、患者さんが将来どのような生活を送りたいのかを出発点に、医療的な選択肢を検討する。これが個別化医療の基本的な考え方といえるでしょう。

MRIによって、膝関節をより多角的に評価する

——膝関節の状態を把握するうえで、MRIはどのような役割を果たすのでしょうか?

画像検査には、それぞれ異なる役割があります。一般的なX線検査では、骨の形状や関節の隙間、骨の変形などを確認することができます。

一方、MRIでは、軟骨や半月板、靱帯、骨髄、周囲の軟部組織など、X線では評価しにくい部分についても情報を得ることができます。

膝関節の痛みは、必ずしも軟骨だけが原因とは限りません。半月板の損傷や骨の内部の変化、靱帯や周囲組織の状態などが症状に関係していることもあります。

そのため、必要に応じてMRIを活用し、関節の状態を多角的に確認することは、治療方針を検討するうえで有用だと考えています。

——MRIの画像があれば、治療方針を決められるのでしょうか?

MRIは非常に有用な検査ですが、画像だけですべてが決まるわけではありません。

例えば、画像上で変化が見られても、それが現在の痛みとどの程度関係しているのかは、診察や身体所見と合わせて考える必要があります。

患者さんがどのような動作で痛みを感じるのか、関節の動きに制限があるのか、歩行や筋力にどのような特徴があるのか。そうした情報と画像所見を組み合わせることで、より適切な判断につなげることができます。

検査を受けること自体が目的ではなく、検査から得られた情報を、患者さんにとって意味のある治療方針に結び付けることが大切です。

MRIが映し出す、X線検査とは異なる関節内部の情報

膝関節の画像検査として広く用いられているX線検査は、骨の形状や関節裂隙の狭小化、骨棘の形成などを確認するうえで重要な役割を果たします。変形性膝関節症の評価においても、基本的な検査のひとつです。

一方、MRIは磁気と電波を利用して身体内部の断層画像を得る検査であり、骨だけでなく、軟骨や半月板、靱帯、筋肉、腱、骨髄などの軟部組織についても詳細な情報を得られることが特徴です。

例えば、半月板の損傷や変性、靱帯の状態、骨髄の信号変化、関節液の貯留など、X線検査だけでは把握しにくい情報が診断の参考になる場合があります。

ただし、MRIで確認できる所見が、必ずしも痛みの原因であるとは限りません。画像上の変化と実際の症状が一致しないこともあるため、診察や身体所見、患者さんの生活状況と組み合わせて判断することが重要です。

特に再生医療を検討する場合には、治療前の関節の状態を把握しておくことが、その後の評価を考えるうえでも意味を持ちます。治療前後で症状や機能、画像所見をどのように確認するのか、あらかじめ評価方法を整理しておくことが望まれます。

MRIは、単に高精細な画像を得るための検査ではなく、患者さんの状態をより立体的に理解し、治療方針を考えるための情報源のひとつです。

紫藤奈緒先生——整形外科の臨床経験を再生医療へ

——ここで、先生のこれまでの歩みについて教えてください。

私は群馬大学医学部を卒業後、日本医科大学附属病院で初期臨床研修を修了しました。その後、横浜市立大学整形外科に入局し、整形外科医として臨床経験を重ねてきました。

現在はBiOSTYLE CLINICの院長として、再生医療や整形外科、関節・運動器疾患、幹細胞治療などに携わっています。

診療において大切にしているのは、患者さん一人ひとりの状態や希望を理解し、その方の生活の質、つまりQOLを考えた医療を提供することです。

——整形外科での経験は、現在の再生医療にどのように活かされていますか?

整形外科では、痛みのある部位だけを見るのではなく、関節の構造や動き、身体全体のバランスなどを考えながら診療を行います。

膝の痛みについても、関節の内部だけでなく、歩き方や筋力、日常生活での負荷など、さまざまな要素が関係しています。

再生医療を検討する際にも、こうした整形外科的な視点は欠かせないと考えています。

治療方法を先に決めるのではなく、まず現在の状態を評価し、治療によって何を目指すのかを明確にする。そのうえで、再生医療が選択肢になり得るのかを検討することが重要です。

——患者さんとのコミュニケーションで意識されていることはありますか?

治療に対する期待や不安は、患者さんによって異なります。特に再生医療は、まだ一般的な治療として広く理解されているとは言えない部分もあります。

ですから、治療の仕組みだけでなく、どのようなことが期待されているのか、現時点で分かっていることと、まだ十分に明らかになっていないことを分けてお伝えするようにしたいと考えています。

患者さんが十分に理解し、納得したうえで治療を選択できること。それが医療における基本だと思います。

整形外科的な評価を基盤とした個別化医療

紫藤先生の経歴で注目したいのは、再生医療だけを専門領域としてきたのではなく、医学部卒業後の初期臨床研修を経て、横浜市立大学整形外科で整形外科医として臨床経験を重ねてきた点です。

膝関節の治療では、関節内部の状態だけでなく、身体の動きや筋力、歩行、生活習慣などを含めて評価することが重要です。特に慢性的な関節疾患では、痛みの程度だけを基準に治療を考えるのではなく、患者さんがどのような生活を送り、どのような身体機能を取り戻したいと考えているのかを理解する必要があります。

例えば、日常的な歩行に不安を感じている方と、登山やゴルフなどの活動を継続したい方では、治療に求める目標が異なります。

こうした違いを踏まえ、検査結果と患者さんの希望を結び付けながら治療方針を考えることが、個別化医療の重要な要素となります。

再生医療を検討する際にも、細胞を投与するという治療工程だけでなく、その前後にある診察、評価、説明、経過観察を含めた医療全体を考える視点が求められます。

自己脂肪由来培養幹細胞治療の可能性と、正しく理解しておきたいこと

——自己脂肪由来培養幹細胞を用いた膝関節治療について、仕組みを教えてください。

この治療では、患者さん自身の脂肪組織を採取し、そこから細胞を分離・培養して、一定の工程を経た細胞を関節内へ投与します。

脂肪組織には、間葉系幹細胞と呼ばれる細胞群が含まれており、研究では炎症反応の調整や組織修復に関係する働きなどが検討されています。

こうした細胞の特性を活用し、関節内の環境に働きかけることが期待されているのが、自己脂肪由来培養幹細胞を用いた再生医療です。

ただし、細胞を投与すれば必ず軟骨が再生する、あるいは痛みがなくなるというものではありません。治療効果には個人差があり、疾患の状態や進行度、患者さん自身の身体的条件なども関係します。

現在の医学的知見を踏まえ、期待できる可能性と限界の両方を理解したうえで検討していただくことが大切です。

——どのような方が治療を検討する際に、相談するとよいのでしょうか?

膝の痛みが続いている方や、これまで保存療法などを受けてきたものの、今後の治療について別の選択肢も知りたいという方は、一度ご自身の関節の状態を確認することが大切だと思います。

ただし、膝の痛みがある方すべてに再生医療が適しているわけではありません。症状の原因や関節の状態によっては、別の治療を優先した方がよい場合もあります。

まずは診察や必要な検査を通じて状態を把握し、治療の選択肢を整理する。その中で再生医療が適切な選択肢となるかどうかを、医学的な観点から判断していくことが重要です。

自己脂肪由来培養幹細胞が研究される理由

幹細胞は、さまざまな細胞へ分化する能力や、周囲の細胞・組織に働きかける性質を持つ細胞として研究されています。なかでも脂肪組織由来の間葉系幹細胞は、採取可能な組織のひとつであることから、再生医療分野で研究が進められてきました。

間葉系幹細胞については、細胞そのものが組織に置き換わる働きだけでなく、サイトカインや成長因子などの分泌を介して、炎症反応や周囲の細胞環境に影響を与える可能性も研究されています。

膝関節に対する治療では、こうした細胞の性質を活用し、関節内の環境に働きかけることが期待されています。

自己脂肪由来培養幹細胞治療の一般的な流れは、脂肪組織の採取、細胞の分離・培養、品質管理、投与という工程から構成されます。実際の採取方法や培養工程、投与方法は、提供計画や実施施設の体制によって異なります。

ここで重要なのは、幹細胞治療が、損傷した軟骨を確実に元通りにする治療として確立しているわけではないという点です。研究ではさまざまな可能性が検討されていますが、臨床的な有効性や長期的な結果については、対象となる疾患や治療条件によって評価が異なります。

したがって、治療を検討する際には、期待される作用だけでなく、現時点での科学的な根拠、治療の限界、考えられるリスク、費用、治療後の管理などを総合的に理解することが必要です。

また、幹細胞を用いた治療と、幹細胞を培養する過程で得られる培養上清液を用いた治療は、異なる治療です。両者を同じものとして説明しないことも重要です。

治療を提供するだけではない、診断と医療連携の重要性

——再生医療を検討する施設を選ぶ際、患者さんはどのような点に注目すべきでしょうか?

治療方法や費用だけで判断するのではなく、治療を受ける前にどのような診察や検査が行われるのか、治療の適応をどのように判断するのかを確認していただきたいと思います。

また、治療のメリットだけでなく、限界やリスク、治療後の経過観察についても説明があるかどうかは大切なポイントです。

再生医療は、細胞を投与することだけで完結するものではありません。治療前の評価、治療方針の決定、治療後の状態の確認までを見据えた医療体制が重要だと考えています。

——今回の医療連携では、THE PREVENTION CLINIC TOKYO、BiOSTYLE CLINIC、CLINIC 9ruが関わっています。それぞれの役割について、どのように考えていますか?

医療では、それぞれの施設が持つ機能や専門性を活かしながら、必要な情報を共有し、患者さんにとって適切な医療につなげていくことが大切です。

THE PREVENTION CLINIC TOKYOでは、MRIやCTなどの画像検査を含む予防医療の取り組みが行われています。膝関節の状態を詳しく確認する必要がある場合には、適切な検査環境を活用することが、診療の参考になると考えています。

BiOSTYLE CLINICでは、再生医療や関節・運動器疾患に関する診療に取り組んでいます。そして、CLINIC 9ruでは、再生医療に関する提供計画に基づく体制のもと、治療に関わる役割を担っています。

それぞれの施設が連携することで、検査、診療、治療に関する情報をつなぎ、患者さんの状態に応じた医療を検討できる環境を整えていくことが重要だと思います。

——CLINIC 9ruの第二種再生医療等提供計画についても、患者さんに知っておいていただきたいことはありますか?

再生医療を提供する際には、法律に基づく手続きや体制の整備が必要になります。提供計画は、その治療がどのような計画や管理体制のもとで提供されるのかを確認するうえで重要な情報です。

ただし、提供計画の提出や受理は、治療の有効性や安全性について国が個別に承認したことを意味するものではありません。

患者さんには、提供計画の内容だけでなく、治療の方法、リスク、期待される効果、費用などについても十分に説明を受けていただきたいと考えています。

医療機関の専門性をつなぐ、診断から治療までの連携体制

再生医療を適切に検討するためには、治療を実施する機能だけでなく、診察や画像検査、治療適応の判断、治療後の評価など、複数の要素が関係します。

今回の取り組みで重要となるのは、THE PREVENTION CLINIC TOKYO、BiOSTYLE CLINIC、CLINIC 9ruが、それぞれの機能を活かしながら医療連携を図るという考え方です。

THE PREVENTION CLINIC TOKYOは、MRIやCTなどの画像検査を含む予防医療を展開する施設です。膝関節の状態を把握するために画像検査を活用する場合には、検査の実施体制や画像の評価を担う医師、診療側への情報共有方法などを明確にしておくことが重要です。

BiOSTYLE CLINICは、再生医療や関節・運動器疾患に関する診療を担う施設として、患者さんの状態や希望を踏まえた治療の検討に関わります。

CLINIC 9ruは、再生医療等安全性確保法に基づく提供計画に関係する施設です。再生医療を提供する際には、治療内容に応じた提供計画や実施体制、細胞の加工・管理、説明と同意、記録や安全管理など、法令に沿った対応が求められます。

ここで大切なのは、各施設の役割を明確にし、誰が診察し、誰が画像を評価し、誰が治療適応を判断し、どの施設で治療を実施するのかを患者さんに分かりやすく伝えることです。

また、第二種再生医療等提供計画の提出・受理は、国が個々の治療の有効性を承認したことを意味するものではありません。患者さんが治療を検討する際には、提供計画の内容とともに、治療の根拠やリスク、実施体制についても理解することが必要です。

医療連携の価値は、施設の数や設備の充実度だけで決まるものではありません。それぞれの専門性を適切につなぎ、患者さんの情報を共有しながら、医学的な判断のもとで治療を進められる体制にこそ意味があります。

海外から訪れる患者さんにも、理解と納得を大切にした医療を

——海外から膝関節の再生医療を希望される患者さんについて、どのような点が重要になるでしょうか?

海外から来られる患者さんの場合、言語や医療制度、これまで受けてきた治療の内容などが異なるため、より丁寧な情報共有が必要になります。

まずは、これまでの病歴や治療歴、現在の症状、画像検査の情報などを確認し、現在の状態を把握することが大切です。

また、治療の内容や期待できること、リスク、治療後の経過について、患者さんが理解できる言語で説明することも重要です。

医療は、患者さんが十分に理解し、納得したうえで選択できることが基本です。海外からの患者さんに対しても、その考え方は変わりません。

——コーディネーターの医療サポート体制には、どのような役割を期待しますか?

海外の患者さんにとって、日本で医療を受ける際には、医療機関の予約や必要書類の準備、言語面でのコミュニケーションなど、さまざまな課題があります。

医療従事者が診療に集中できる環境を整えるためにも、医療機関との連絡調整や多言語での情報共有、滞在中のサポートなどを担う存在は重要だと思います。

もちろん、診断や治療方針の決定は医師が医学的な判断に基づいて行うものです。そのうえで、医療機関と患者さんの間をつなぐサポート体制があることで、海外の方にも安心して医療を検討していただける環境につながると考えています。

国境を越える医療に求められる、情報共有と継続性

海外から日本の医療を受ける患者さんにとって、医療技術や設備だけでなく、受診前から帰国後までを見据えたサポート体制も重要な判断材料になります。

特に再生医療のように、事前の評価や治療工程、治療後の経過確認が関係する医療では、患者さんが日本に滞在する期間だけでなく、帰国後の生活も考慮する必要があります。

渡航前には、既往歴や服薬状況、過去の検査結果、これまで受けた治療などを整理し、医師が医学的な判断を行うために必要な情報を共有することが重要です。

また、治療内容や費用、考えられるリスク、治療後の注意事項などを、患者さんが理解できる言語で説明することも欠かせません。治療に関する同意は、患者さん自身が十分に内容を理解したうえで行われる必要があります。

コーディネーターは医療機関そのものではなく、提携する医療機関と患者さんをつなぐ調整・サポートの役割を担います。医療機関の予約調整、多言語でのコミュニケーション支援、医療ケースワーカーによる情報整理や受診に関するサポートなどを通じて、海外から訪れる方が日本の医療を検討しやすい環境づくりが重要です。

診断や治療方針の決定、医療行為は、それぞれの医療機関において医師の判断と責任のもとで行われます。その役割を明確にしたうえで、医療とサポート機能が連携することが、国際的な医療サービスにおいて大切な要素となります。

膝の健康を守り、自分らしい人生を長く楽しむために

——最後に、膝関節の痛みや再生医療を検討されている方へメッセージをお願いします。

膝の痛みがあると、外出や旅行、運動など、これまで当たり前にできていたことを控えるようになってしまう場合があります。

しかし、痛みの原因や関節の状態は一人ひとり異なります。年齢だけで判断したり、痛みを我慢し続けたりするのではなく、まずは現在の状態を正しく知ることが大切です。

再生医療は、これからの医療の可能性を広げる分野のひとつですが、すべての方に適した治療というわけではありません。大切なのは、治療ありきではなく、患者さんの身体の状態や生活の目標に合わせて、適切な選択肢を考えていくことです。

膝の健康は、日々の生活の質だけでなく、将来の活動範囲にも関わります。自分らしい生活を長く楽しむためにも、気になる症状があれば、早めに専門的な評価を受けていただきたいと思います。

編集部より|再生医療を、これからの人生を考えるための選択肢として

ロンジェビティという言葉が広く知られるようになり、健康寿命を支える医療への関心が高まっています。身体の状態を定期的に確認し、疾患の早期発見や予防に取り組むことはもちろん、年齢を重ねても自分らしい活動を続けられる身体機能を維持することも、大切なテーマです。

膝関節は、その活動性を支える重要な要素のひとつです。痛みを感じたときに、ただ症状を抑えることだけを考えるのではなく、原因を理解し、現在の関節の状態を把握し、将来の生活を見据えた治療方針を検討することが求められます。

自己脂肪由来培養幹細胞を用いた再生医療は、関節疾患に対する新たな可能性として研究が進められている分野です。一方で、すべての患者さんに効果が期待できるわけではなく、医学的な根拠や治療の限界を理解したうえで検討する必要があります。

だからこそ、治療方法だけに注目するのではなく、整形外科的な診察、必要に応じた画像検査、治療適応の判断、治療後の評価までを含めた医療体制が重要になります。

紫藤先生が語るように、再生医療の価値を考えるうえで欠かせないのは、患者さん一人ひとりの状態を理解し、その方にとって何が適切なのかを丁寧に考えることです。

身体の機能を守り、自分らしい人生を長く楽しむ。そのための選択肢を、科学的な知見と医師による適切な判断のもとで考えていくことが、これからのロンジェビティ医療に求められています。

転載:WEBマガジンAGELESS
https://ageless-medical.com/preventive-medicine/2030/

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