【対談】橋本志穂×三原じゅん子 今話題のエクソソームとは!?再生医療の法整備と未来を考える

近年、再生医療やその派生技術が注目を集めています。再生医療の発展により、医療技術は未曽有の進化を遂げました。しかし、その波及効果は医療にとどまらず、美容業界にも大きな影響を与えています。元アナウンサーの橋本志穂さんと元厚生労働副大臣の三原じゅん子議員のお二人に、日本の再生医療の現状と今後の方向性について対談していただきました。

再生医療の発展と安全性確保法

橋本志穂 : 今回は厚生労働副大臣を務められていた三原じゅん子参議院議員にお越しいただき、行政の立場から見た再生医療についてご意見を伺えればと思っております。近年、日本の再生医療技術は、山中教授によるiPS細胞の研究を始めとして、大きな成果を挙げています。まずは、これらの研究を今後どのように支援し規制していくべきかをご意見いただけますでしょうか。

三原じゅん子 : 平成26年に施行された再生医療等安全性確保法により、再生医療の提供が規制され、安全性が確保されました。これにより、研究が促進され、技術の実用化にもつながっています。行政としては、民間の研究機関や医療機関と連携し、安全性を確保しつつ臨床研究を推進するために、各種の支援策を提供しています。

再生医療技術の国際的注目

橋本志穂 : 日本の再生医療技術は国外でも注目されているようですね。

三原じゅん子 : はい、再生医療の分野は、日本が世界に誇る技術研究の一つとなっています。我が国の取り組みは、国外からも高い評価を受けています。

橋本志穂 : 今後の日本の再生医療技術の方向性について、どのような展望がありますか。

三原じゅん子 : 日本の再生医療技術は、ますます発展していくと期待されています。政府は引き続き、民間の研究機関やバイオベンチャーと連携し、安全性を確保しつつ効率的な臨床研究を推進していく方針です。AMED研究費を通じて研究開発を促進し、適切な再生医療法の運用を支援していきます。再生医療技術は、日本の医療の未来を拓く重要な分野であり、その安全性と効果の確保に政府と民間の連携が欠かせません。今後もこの分野の発展に向けて、さらなる取り組みが期待されています。

 

新たな医療技術の法的解釈と安全性への懸念

橋本志穂 : 再生医療において、幹細胞上清やエクソソームなどの新しい医療技術が注目されていますが、現行の法律ではどのように規制されているのでしょうか?

三原じゅん子 :幹細胞上清やエクソソームは、細胞の断片として扱われるため、再生医療法の規制の対象外ですさらに、これらの技術を応用した医薬品で薬事承認を得たものは存在しません。ただし、医師の裁量により院内で調剤される場合は、薬事法の範疇外となり、現行法の下では規制の及ばない状況です

橋本志穂 : しかし、これらの技術が医療機関に商品名を付けられて卸されている状況がありますが、その法的解釈はどのようなものでしょうか?

三原じゅん子 : 医療機関への卸しは、おそらく研究用資材として行われていると考えられます。つまり、これらの製品は院内で生理食塩水などと混合して調剤される目的で提供されているということです。

橋本志穂 : 研究用資材としての提供は規制されていないということですね。それでは安全性はどのように保たれるのでしょうか?

三原じゅん子 : 実際に人体に投与される場合は、製造過程での安全性確保が重要です。製造者はウイルスや雑菌の混入を防止するための基準を満たした施設で製造し、ロットごとに汚染や感染の検査を実施する必要があります。ただし、研究用途である場合は、一定の試験基準を満たさなくても出荷されることがあります。医師がこれを患者に投与する場合は、安全性を慎重に判断し、患者に十分な説明を行う必要があります。

美容クリニックにおけるエクソソーム使用の現状と規制

橋本志穂 : 最近、エクソソームなどの技術が美容に効果があるというキャッチーなイメージで宣伝され、美容クリニックなどで無認可の点滴療法が行われている状況がありますが、これについてどのようにお考えですか?

三原じゅん子 : エクソソームは再生医療等安全性確保法の対象外ですが、医療法においては、医療機関が患者に対して事実に反する情報を提供したり、誇張したりすることが禁止されています。具体的には、医療機関の広告が虚偽や誇大である場合、または事実と異なる内容を伝える場合には、法的に禁止されています。そのため、厚生労働省は、不適切なウェブサイトを監視し、医療機関に規制を周知し自主的な見直しを促したり、都道府県に情報提供を行い、必要な指導を行っています。

橋本志穂 : 先日、化粧品や健康食品、美容機器の日本最大の展示会に行ってきたのですが、どこもかしこもエクソソームでした。ピュアエクソソーム VIP エクソソーム、その他いろいろな商品ラインナップときらびやかなパッケージと高額であることが特徴でした。 また、その含有量が多い、少ないなどが話題になっていましたが、エクソソームがどういったものかわからずに、この言葉だけで効果があるというイメージでリードする風潮はいかがなのでしょうか?

三原じゅん子 : 化粧品や健康食品、美容機器等を販売する際の製品広告については、医薬品医療機器等に基づき必要な監視指導が行われています。監視指導に当たっては、製品表示や広告の内容を総合的に勘案し判断が行われますが、医薬品的な効能効果の標榜に該当する製品については 同法に基づき販売などが禁止されます。また、これらの治療がクリニック等で不適切に実施されないよう、科学的な観点からのエクソソーム等の投与に関わるガイドラインの整備等が必要かもしれません。

再生医療に関する今後の法整備

今回の再生医療分野に関する対談では、再生医療法の施行による効果や課題、そして今後の方向性についてディスカッションしていただきました。再生医療法の施行により、日本の再生医療の研究と実践は飛躍的に進展し、世界的な注目を集めています。行政としては、民間の研究機関やバイオベンチャーとの連携を促し、安全性を確保しつつ臨床研究を効率的に進めるために支援を行う方針を示しています。

一方で、再生医療法の対象外であるエクソソームや幹細胞上清などの新たな医療技術については、現行法の適用が限定的であることが明らかになりました。医師の院内調剤など一部の形態では規制の適用範囲外となり、その安全性や効果についての評価や管理に課題が残ることが指摘されました。

また、美容業界でのエクソソームの使用や販売に関しても、医薬品や医療機器としての広告規制の必要性が示唆されました。製品の効能効果に関する誇大な表現や虚偽の広告は禁止されており、これらの規制を遵守することが求められています。さらに、科学的なガイドラインの整備や監視指導の強化が、再生医療を含む新たな医療技術の適切な利用を促進する重要な手段とされました。

今後は、再生医療分野の技術や製品の安全性や有効性の確保に向けた規制や指導が強化されるとともに、科学的な知見に基づいたガイドラインや情報提供が必要不可欠です。これによって、利用者が安心して再生医療や関連技術を受けられる環境が整備され、医療や美容の分野におけるさらなる発展が促進されることが期待されます。

三原 じゅん子

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橋本 志穂

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バイオスタイルクリニックのエクソソームに関する見解

TVバラエティ番組等において細胞外小胞(エクソソーム)を用いた治療に関連して、エクソソームそのものが美容や若返りに画期的な効果を発揮するものであるとの誤った認識が誘発されその認識がブームとなりつつあります。また、美容クリニック等が過剰な効果期待を喚起した高額治療のトラブル事例、健康被害事例を引き起こす事例が問題になりつつあります。当クリニックのグループでは2018年から様々な種類の幹細胞培養上清を用いた治療を積極的に行っており、これら幹細胞培養上清が細胞外小胞(エクソソーム)を含有しておりますがこれらの治療とはスタンスが異なります。従って、当院の治療について正しくご理解を頂くためにここに当院としてのエクソソーム治療に関する見解を掲示させていただきます。エクソソームのみを幹細胞培養上清から取り出したことによる「高純度化」、あるいは細胞外小胞エクソソームの含有個数の多さである「高濃度化」を宣伝文句にしている医療機関やメーカーが台頭して参りましたが、エクソソームはあくまでも細胞と細胞がその細胞の生成や代謝、あるいは分化に必要な情報をやり取りする情報伝達ツールであり、エクソソームの中に含まれるμRNAなどの情報が重要であり、エクソソームが高濃度であるとか、エクソソームが高純度であるということによりそれに比例した治療効果が得られるものではありません。また、エクソソームはこれを産生したドナー細胞の情報を伝達する為、ドナー細胞が何らかの異変を患っていた場合不利益な細胞情報を伝達する恐れがあります。ドナー細胞の検証を行わずにこれを高濃度化、高純度化することは危険を伴う可能性があります。トップレベルの研究機関の行っているエクソソームの研究はエクソソームを用いて有用なμRNAを細胞内に運搬することを主目的としており、これらのテクノロジーを商業的に混同されるような内容では決してありません。

バイオスタイルクリニックで行っている幹細胞培養上治療について

当クリニックで行っている幹細胞培養上清にはエクソソームが含まれますが、エクソソームではなく様々な効果が立証されたグロスファクターが多く含まれることに着目しております。幹細胞培養上清は、わが国でも症例が多く、安全性や効果に関し研究論文も数多く存在しております。幹細胞培養上清はグロスファクターの量や分布スペクトルを検証することが可能であり、人体への有用性をある程度予測しながら治療に応用することが可能であると考えております。また、当院では臍帯血由来、胎盤由来、羊膜由来、乳歯根を用いた歯髄由来などドナー細胞が不利益情報を持つエクソソームを放出する可能性が考えにくい赤ちゃん由来の幹細胞の培養上清を用いることにより、培養上清に含まれるエクソソームに不利益情報が含まれる可能性を極小化しております。

幹細胞培養上清液治療

製造から投与に関する法的解釈と安全管理マニフェスト

幹細胞上清やエクソソームは研究用資材として、医療機関が仕入れしこれを院内調剤によって医師の責任の下投与することによって薬事法の範疇外と解釈されるため規制対象外となっております。研究用資材には、その製造過程の報告義務や、その検品の義務に関して規制する法律が厳密ではないので医療機関側から見ると製造会社を盲目的に信用した結果、コンタミネーションによる事故が起きやすい状況があります。製造工程上の自主規制を医療機関が厳しく設定する必要があり、当院では、毎回のロットごとのエンドトキシン試験の実施及び、ISO5もしくはGMP基準のCPCにおける院内製造または、当クリニックが関連する当院が求める基準を満たした提携研究機関による資材製造によりこれを実現しております。また、当院は第二種再生医療・提供計画番号を取得した再生医療に関する施設基準を満たした医療機関であり、幹細胞培養上清を用いた治療においても細胞医療に関する知識や、緊急時の対応に関して十分なスキルを持ち合わせた医師、スタッフが治療にあたっています。

細胞培養加工施設

 

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